私は社会化のドッグトレーナー@犬の森

犬の森発 吠える咬む犬の問題行動研究所 @小田原

【ブロマガ】そっぽを向く(カーミングシグナル)

☆犬のスペースについて考える スペースの色々 犬が必要とするというか、犬に備わっている距離、空間についてのお話をします。 先日の杉並座学の時に少しお話ししました。 犬のシグナルを見ていくときにはとても重要な概念だと思いますので 頭に入れておかれると、犬が今なぜこのシグナルなのか?の助けになると思います。 ◎テリトリー いわゆる犬の縄張りですね。自分の領域です。当然他の犬ともバッティングしますから 犬同士の緊張感は生まれやすいと思います。 自分の領域外では、比較的落ち着いて歩けるというのは、テリトリーを侵されているという自分の意識がないからでしょう。 マーキングによって自分の領域を作り守る、と言われていますね。 ということで、興奮しやすい(=と人間には見える)テリトリーは、作らせない方がいいというのが強制訓練のセオリーだったりしますね。コントロールしやすくなるからでしょうかね。 ◎バリアフラストレーション バリアというのは障害物です。ケージ、クレート、リードもバリアーの一つになります。 それによるフラストレーションというのは長時間の拘束であったり 逃げ場を失った感じとか・・・そういうフラストレーションですね。 むしろバリアーを作ることでの安心という概念もあると思います。たとえば フェンス越しで吠えていた犬が興奮して吠えたて続けるうちに、いつの間にかフェンスのないところに来てしまった。どうしたか? 両方ともフェンスまで戻ってまた吠え始めた、みたいな。 フェンスがあるから安心して吠えられる(一種の遊び感覚だと私は思いますが)のでしょう。 そういう意味から抱っこする人で吠えやすいとかリードを持つ人で吠えやすいとかが生まれるのかなと思いますが。どうでしょうね。 吠えは攻撃と言われ、攻撃から殺し合いとまではいかなくても、致命的なけがを負わすような攻撃に発展するのでは?というような不安感が人間には生まれやすいと思います。 ただ・・・相当のフラストレーションを抱えた犬でなければ、双方カーミングシグナルを駆使して平穏でいるための方法をとれるのが犬、だと思いますので、抱っこやリードで吠えが出るということも、飼い主さんはネガティブな意識を持ちすぎることのないようにしていただきたいです。 1:ソシアルディスタンス 距離の中では最も狭い・近い、身体接触を伴うもの、です。 私の考えでは、この距離感について洋犬の方が和犬より鈍感であるし、社会化された犬というのはこの距離の主張が少ないのではないかなと思います。 ただ、社会化されているといっても、犬たちが接触を許してくれているということで 人間が我がそれに甘えない、ことが必要だと思います。 寝ているときは、この距離を少し広めにとりたいとか 気分の悪いとき、具合のすぐれない時も距離を取りたいんだとか、 反対にそういう時に接触を求めてくる個体もいる、ということではないかなと考えています。 2:クリティカルディスタンス 動物は本来クリティカルディスタンス=「防衛の臨界距離」を持っていて、 常に個体としての距離を保っています。 その距離の中に一歩でも侵入されれば、直ちに攻撃か逃避の行動にでる生命の保全に欠かせない距離だ、と言われています。 野生動物はこの主張が大きいと思います。 家庭犬はこの主張が強いと、暮らしにくいと思います。だからこその社会化であると思います。人間の手の届かない距離、ですね。 手を伸ばせばその分後ずさりたい、という距離です。状況によって変わります。 相手が良く知った人なら、下がることはないでしょう。 おやつをもらうときなども下がることがないでしょう。ただ、知らない人からもらう時は 下がりやすいシャイな個体もいると思いますので、社会化は犬水から近づけるように このクリティカルディスタンスを自分で突破することに自信を持たせたいものです。 3:フライトディスタンス 驚いたときに犬が離れてしまう距離、と言えばわかりやすいでしょうか? 知らない犬同士匂い嗅ぎをして、ちょっとびっくりすると、ダダ~~~っと離れる、という場面ご覧になった方は多いかなと思いますが。 個体によって違います。 小型犬の方がこの距離は大きいですが、リードがたいていの小型犬のものは大型犬に比べてかなり 短めにできていますので、自分で距離を取り難い状況があります。 飼い主目線では短いリードでそばに置いた方が安心、ということもあるでしょう。 でも、犬にとっては飼い主のそばなら安心という状況でないのなら、自分で距離を取らせてあげた方が 落ち着きは早いものです。 この距離=退路、ですね。 退路が保たれていない状況下では攻撃に転じる可能性が大きいし、退路がないと追いつめられるから攻撃的な吠えに転じるということもあります。 ということでこの距離感が犬にとっての安心になります。 バリアーとともに、何が犬にとっての安心かを理解してあげることが攻撃や防御に対する意識を持たせないことになるのかなと思います。

↑座学でよくご紹介する犬のスペースの概念についてです。 ボディランゲージをお話しするときは必ずハンドアウトに記載します。なぜだと思いますか? 距離があれば落ち着いて犬語を出し、相手の犬語を読む余裕が持てるからです。 犬としての共通言語。世界共通の言葉、を忘れてしまったかのような犬は多いですが、 犬を犬として暮らすことを認めない サークル飼い(クレートへの長時間の閉じ込め) 匂い嗅ぎをさせない 外での排泄の禁止 犬同士の交流を持たせない 人が犬語を理解しない などなどによって、犬は犬であることを忘れてしまったかのような様子を呈していることは多いです。 ガウガウ吠えあうことが犬語ができないと思っていませんか? 吠えももちろん犬の言葉です。 争いを避けるために、リードつき、または平で隔たれている、そういう安全圏の中で吠えあう=遊びの延長 であることも人間はあまり許していないのではないでしょうか? 吠えは悪・・・そういうネガティブな感情をもとにリードを引いたり叱ったりしていませんか? 小田原のお散歩トレーニングで、十分距離を取ったうえでのE・S・スパニエルのアポちゃん手前と 向こうに見えるスタンダードプードルのジャズ君との会話を動画に撮ってみました。 そっぽを向くというカーミングシグナルがよく出ていますのでご覧ください。 言わないと見逃しがちかと思うのですね。 敵意はありません、というようなご挨拶の言葉、位に受取ってみたい場面かなと思います。 一つのシグナルもシチュエーションによって人間語でいろいろな意味に取れると思います。 私たちは犬の距離、スペースについての理解と、尊重(十分距離を取ることを意識できる)しているでしょうか? 何かができないという前に犬に十分してあげられているかな?と考えてみましょう。

http://youtu.be/Ilc_GxEU6Zg

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