私は社会化のドッグトレーナー@犬の森

犬の森発 吠える咬む犬の問題行動研究所 @小田原

「うちの子、子犬の時に首輪やリード装着が難しかったです」

社会化期は生後第3週から第12週にかけての時期を言い、その時期も二つに分けられています。
第1次社会化期と
第2次社会化期。
その二つにダブっているのが大体生後第7週。
この時期が一番、犬の中での暮らしから人への暮らしに社会化させやすい時期と言われています。

・・・

生後8週齢未満の犬をショップに並べないように・・・
というのと反していると思いますか?
7週が一番慣れやすいのだからその時期家庭に迎え入れさせないと・・・と?

生体販売される方の多くは、人に慣れる時期に売る方が良いと考えているのだと思います。
でも、実はそのなれる時期に人への社会化を進めるのは、繁殖者の義務ではないかと思うのですね。
これから暮らしていくであろう環境を巡らし、子犬たちに社会化を施す。
それが正しい在り方だと思うのです。

7週、8週齢の犬を展示する場合、それより以前に「仕入」るわけです。もっと早く親から離しているということ。また、ショップで「売れ残った」ら7週の一番いい時期を過ぎてしまう・・・じゃないですか?

いかに危険な仕組かがよく理解できると思うのですが。


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さて、昨日お話しした「野生犬の実験」について。
ちょっと長いですけど引用します。


理想の犬(スーパードッグ)の育て方 (文春文庫)
スタンレー コレン
文藝春秋

“野生犬”と名付けられたのは、広い野外で犬を犬同士(母犬ときょうだい犬)だけで放置し人間との接触をごくわずかに限って育てたためだ。どの子犬も人間とふれあう期間は一週間だけ。その間は研究室で毎日人間にさわられ、声をかけられ、一緒に遊んでもらった。人間とふれあう時期は、生後二週、三週、五週、七週、九週と、子犬によって違っていた。生後十四週目まで人間と接触しなかったグループもあった。結果を見ると、ふれあう時期によって、子犬の人間に対する興味のしめし方に違いが出た。生後二、三週目で人間と接触した子犬は、研究者が近づいても黙って そばにいるだけで、あまり興味を示さなかった。人間が来ると喜び、もっとも興味をしめしたのは生後五週から七週のときに人間と接触した子犬で、九週になってはじめて人間と接触した子犬は人を警戒し怖がった。
 この実験では、犬が人間を受け入れるためには、人間とふれあいを持つタイミングが決定的に重要であることが証明された。  
 生後五週から九週の間に人間とふれあった子犬は、リードをつけてもほとんど問題がなかった。生後5週以前(第二社会化期が始まる時期)に一週間人間と接触した子犬は、リードをつけるとかなり抵抗した。最悪なのは生後十四週まで人間とのふれあいを持たなかった子犬だ。
長すぎてしまうので、続きにします。

こういう記載を読むと、絶望視する方が多いわけですけど、
でもそれでも丁寧に飼育してその家での「お利口さん」に育つ犬が圧倒的に多くて
遺棄されるケースは犬に問題があるよりも人間の心構えの問題が大きいわけですから、大切なことは「補えるか」それにチャレンジできるか、ということだと思います。

いわゆる世間で言われる お利口さんを、連れている人が偉いわけではないわけですから、あきらめずに頑張りましょう。

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