こんばんは~。
TwitterとFacebookの連携を切ってます。RT等多めになるので。
堀先生のtweetをまとめてみました。
イヌの習性をめぐってミスリードが行なわれてきたんじゃないの?
— 堀 明 Akira Hori (@_akirahori) 2017年5月16日
今日はこんなテーマで連ツイしますね。
#犬のリーダー論
— 堀 明 Akira Hori (@_akirahori) 2017年5月16日
①犬の専門家といわれる人の中に、「犬の先祖はオオカミなので犬はオオカミの特徴の多くを引き継いでる。オオカミ同様、生まれつき支配欲の強い動物だ」という根強い意見があります。この犬の傾向を「アルファシンドローム(権勢症候群)」と呼ぶのが流行った時期もありました。 pic.twitter.com/8MJMZixSIk
#犬のリーダー論
— 堀 明 Akira Hori (@_akirahori) 2017年5月16日
②そこでこうなります。「犬は人間の家族を群れとしてとらえるので、飼い主がリーダーにならなくてはいけない。その努力をサボると犬は頼りない飼い主に変わって、群れ(=人間の家族)のリーダーになって人を支配してやろうと考えるようになる」。いわゆる「リーダー論」です。
#犬
— 堀 明 Akira Hori (@_akirahori) 2017年5月16日
③飼い主がリーダーになるためには、ある程度手荒な「しつけ」も必要とされてきました。たとえば犬を仰向けにして羽交い締めにしたり、蹴飛ばしたり、チョークチェーンを使うなど。問題なのは、こうした認識が犬への体罰を助長するとともに問題行動を悪化させることにつながってきたことです。
#犬
— 堀 明 Akira Hori (@_akirahori) 2017年5月16日
④リーダー論のネタもとは「オオカミの順位制理論」と呼ばれるものです。ざっくり言えば「オオカミ社会には最上位のアルファから最下位のオメガまで明確な順位制があり、アルファオオカミが群れを仕切っている」です。「アルファシンドローム(権勢症候群)」はこの理論に端を発しています。
#犬
— 堀 明 Akira Hori (@_akirahori) 2017年5月16日
⑤しかし、「順位制理論」は自然のオオカミの群れではなく、囲い地で飼育された群れの研究から導き出されたものです。限られたスペースに閉じ込められたオオカミたちは狩りもせず、お互い常に接近状態で暮らさなければなりません。飼育者の干渉も受け、相当なストレスにさらされます。
#犬のリーダー論
— 堀 明 Akira Hori (@_akirahori) 2017年5月16日
⑥このようにオオカミの「順位性理論」のネタもとは、飼育されたオオカミなのです。目を向けるべきは、飼育オオカミではなく野生オオカミの生態です。近年の研究によって、野生のオオカミの群れは家族単位で形成され、リーダーは親オオカミだということがわかってきました。
#犬
— 堀 明 Akira Hori (@_akirahori) 2017年5月16日
⑦これが事実なら、オオカミの「リーダー」は「お父さん」「お母さん」と同義語になります。今これらの研究を脇に置いて、オオカミが支配性の強い動物だとしましょう。仮にそうだとしても、犬は羊の皮をかぶった狼で一皮むけば狼同様に支配欲に満ちているというのは論理的にもムリがあります。
#犬
— 堀 明 Akira Hori (@_akirahori) 2017年5月16日
⑧人と犬が共同生活を始めた頃のことを考えてみましょう。従順な犬こそ真っ先に、人に飼われたはずです。おそらく最初は、ゴミ捨て場などを目当てに、人なつっこい温厚な犬が人間の居住地に近づいたのでしょう。もし人間の家族を支配してやろうという犬がいれば、きっと追い返されたはずです。
#犬のリーダー論 昨日の続きを連ツイします。https://t.co/mJl7i6MMMP
— 堀 明 Akira Hori (@_akirahori) 2017年5月17日
#犬のリーダー論
— 堀 明 Akira Hori (@_akirahori) 2017年5月17日
⑨犬の専門家といわれるような人の中には、「犬は人間の家族にランキングをつけて、階層での自分の地位をあげるためにやっきになっている。犬が四六時中、飼い主を見ているのはそのためだ」といった意見もあります。しかしこうした意見は非科学的なこじつけといわざるを得ません。 pic.twitter.com/gJf0BlZxpd
#犬のリーダー論
— 堀 明 Akira Hori (@_akirahori) 2017年5月17日
⑩人間の家族はおろか、犬の群れの中でも階層関係があるという点は、科学的証明がされていないのです。私は、6万平方メートルの牧草地をフィールドに”半放し飼い”の犬の群れ127頭とともに暮らし、少なくとも4000時間にわたってその行動を観察することができました。
#犬
— 堀 明 Akira Hori (@_akirahori) 2017年5月17日
⑪大部分がゴールデンレトリーバーで、他にラブラドールレトリーバー、アイリッシュ・セター、コッカー・スパニエル、ビーグルなどが混在した群れです。観察を通してわかったのは、犬の相互関係は縦一列の関係では決してなく、ピラミッド型と考えるのも大いに無理があるということでした。
#犬のリーダー論
— 堀 明 Akira Hori (@_akirahori) 2017年5月17日
⑫たとえば、前足を相手の肩にかけたり、背に乗りかかったりする「支配的行動」といわれるしぐさは、主に4歳以下の若い雄の間に頻繁に見られ、まれに雌どうしでも起こりました。ただし、「支配的な」行動をとる犬はいつも決まったメンバーで少数派でした。
#犬のリーダー論
— 堀 明 Akira Hori (@_akirahori) 2017年5月17日
⑬また、全体として若い犬は年長のイヌを見習う傾向が見られ、”年功序列的”な特徴が垣間見られました。これらのことから、支配する犬と従属する犬を縦一列にランキングすることは不可能で、群れの中での支配関係は基本的に2頭間にのみ見られるものだという結論を得ました。
#犬のリーダー論
— 堀 明 Akira Hori (@_akirahori) 2017年5月17日
⑭ということで、「犬は、人間の家庭に来てからも、誰がリーダーなのか、自分は群れ中で何番目の位置なのかをさかんに探りはじめる」とか「犬は、自分がその家庭のリーダーになって、人間を支配しようとをねらうようになる」などと言い切るのは、きわめてヘンな話なのです。
#犬のリーダー論
— 堀 明 Akira Hori (@_akirahori) 2017年5月17日
⑮近年、アメリカ獣医行動学会で注目の動きがありました。「問題行動を起こす犬は支配性が強いとする考え方は間違っており、「支配性理論(Dominance theory)は犬の問題行動を修正する際の指針として用いられるべきではない」という意見を公式に表明したのです。
#犬
— 堀 明 Akira Hori (@_akirahori) 2017年5月17日
⑯支配性理論(Dominance theory)は、リーダー論とほぼ同義。オオカミの順位性理論から導き出された犬を極端に支配性の強い動物だと見なす考え方のことです。要するに、アメリカ獣医行動学会は「イヌとヒトの間に対立関係をつくるような方法は時代遅れだ」というのです。
#犬
— 堀 明 Akira Hori (@_akirahori) 2017年5月17日
⑰ところがリーダー論を唱えるドッグトレーナーはいまだ少なくなく、主要なトレーナー養成校では強制訓練系が目立つとも聞きます。一方で、トレーナーの中からもリーダー論を疑問視したり異論を唱える声が上がっています。
科学的根拠のないリーダー論にはそろそろサヨナラしてみてはいかが?