犬の欲求階層の一番の低次の命の安全。
この欲求が満たされて初めて上位の欲求への渇望が生まれるといってもいいのではないでしょうか。
反対に言うと、 この安全欲求が満たされていない=いつもびくびく警戒している、と。 その他の欲求どころではないと、確かにそうでしょうね。
では、 この命の安全って? 満たされていない状態(いつもびくびくって?)って何でしょうか?についてはどうでしょう?
細かく考えていく癖を私自身つけるようにしています。
時々、外飼育の犬の飼い主さんが、暗い表情で 「うちは外でしか飼えなくて、申し訳ないなぁっていつも思っているんです」 と。
そしてこの命の安全を保障できていないから、飼い主失格だって。
どうですか?
犬の主張である咬み、という行動に、愛情遮断や暴力による訓練で 家にいながら、いつもびくびくしている状態の犬、またはそこまでではないものの、 ほんの赤ちゃんの状態のパピーに、命の危険とすら感じるアルファロールでひっくり返して怖い顔でしかりつけるなどは?
命の安全を飼い主が脅かしているといっても過言ではない、そう思いませんか?
物理的なものではないのではないでしょうか?
犬は家を守る、そのために警戒信号である吠えで知らせる、だから外は危険と、思ってはいないと思います。 危険なものが危険なんです。
犬は外が大好きなんですよね。 (外が怖い、危険だと思い囲い過ぎている結果社会化や自信がついていない犬が多すぎるのではないでしょうか)
もう一度成長過程を振り返ります。
先日の記事で赤字で書いた社会化期の後期の状態
13~16週(社会化後期):ホルモンにより大人びてくる。警戒心が出てきて故に脅えやすくなる。脅えから怒りやすさも出てくる。
比較的手荒に扱っても(慣れない手つきでおっかなびっくり触っても)許されてきた社会化中期、扱いやすい時期から 警戒心が生まれるこの時期は、 犬の脳の成長によって不安感が生まれます。
社会化に失敗したから不安になるのではありません。
正常に発達したから、これから危険なものとそうでないものを見分けるための準備ができた、ということです。
で、いつものようにひょいっと抱き上げた。
いつものように足ふきしようと足を持った。
いつものように咥えているティッシュを口の中に手を入れて取り上げようとした。
その時・・・犬が唸った。
次の行動、次何されるのか関連性を知った、学習した犬は 酷いことをしないでね という意味で唸った、ということ。
それを人は攻撃性と決めつけるわけです。
攻撃的に感じるけれどそれはもっともな主張なのですね? そう思いませんか?
慣れない自分、おっかなびっくりの自分が犬にどう見えているのかをかえりみず、犬だけを悪者にするのが 唸った→けしからん という発想です。
また・・・怖い、と感じることもいた仕方がないとは思います。
ただし、気弱な犬には脅えた飼い主さんに対して さらに警戒する気持ちや、頼れない気持ちを抱く=肝心な時に頼れない と思わせるに十分な出来事だったりします。
手荒が良いというわけではないです。
ただ、犬の様子をうかがい過ぎて、手出しできない飼い主さんと、自信のない内弁慶さんのマッチングが 家庭犬の咬みのお悩みで最も多いと私に相談が来る中で感じています。
だからこそ、強くて優しい飼い主さんになってほしいのですが、なかなか自分の行動を変えること思考を変えるということは難しいので、力のある屈服させる指導者の鎧を着て、何かを成し遂げた感が強くなってしまう方も多いのかなと思います。
自分の鎧に自分自身つかれてしまって、犬を飼うことが本当に楽しいか、よくわからなくなってしまった方 もう一度基本に帰って、 犬は不安感から攻撃的な行動をする、だから攻撃的な行動に対して攻撃で返さない 誰もひどいことはしないよ、を教えていかなければいけません。
なお、ハズバンダリートレーニングと、咬みに対するインターセプトと保定は同時進行ですね。
時にインターセプトや保定が、強制と区別できなくなるのは、ハズバンダリートレーニング=古典的条件づけの真の理解が足りないのだと思います。