私は社会化のドッグトレーナー 第3章

犬の森発 吠える咬む犬の問題行動研究所 @小田原

最終回・唸ったり噛む犬だったらどうしますか?

>あとこちらのトレーナーの先生は「子犬は弱いものいじめをするものなので介入して(母犬のするよう>に)いじめをやめさせる必要がある」とおっしゃっていました。

>私はいじめられっこになっていたのでしょう。

>そして先生は私の夫に子犬が興奮している時は私に近づけないようにと言いました。 >これはお子さんのいる家庭に与えるアドバイスと同じです。

>情けないことです。母犬になろうとその時思いました。

 

私の愛読書のうちの一冊です。

動物感覚―アニマル・マインドを読み解く 動物感覚―アニマル・マインドを読み解く
(2006/05)
テンプル グランディンキャサリン ジョンソン

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この中で、青年期の動物の残虐性について書かれている個所があるのですが イルカとかシャチの攻撃性について。

なぜ、動物は暴力を生むのか。 その理由は分からない。

ただ…複雑な脳を持つがゆえに、副産物として 良いこと、悪いこと、その中間、いろいろな行動が生まれる、と書かれている。

イルカやシャチの残虐な行動は脳が未発達な時に見られる非行ではないか、と。

人間も 思春期には暴力にかかわる可能性が他の年代層に比べると最も高い、ということです。

ムツゴロウさんは、一度できた脳の配線がまたバラバラになって 再び結合するとき、というような言い方をされていました。

要するに、イライラするんです。

脳が飛躍的に成長する時には、特に脳はイライラする、 ということなのかな?って解釈していますが・・・

で、その解釈が正しいかどうかは、これからの研究を待たなくてはいけないのでしょうが ただ言えることは、 その成長によるイライラには、罰はNGである、ということです。

イライラによる噛みつきや唸り、 イライラは不安感でもあるでしょうし、満たされない思いであるかもしれない。

そういう状態の犬たちに、では何をしてあげたらいいのか? ということで、 思春期のカテゴリーを参考にしてください、と思うわけです。

>私がここでアドバイスを言う立場でないことは重々承知しています。

>でも、よそで言うより、チャーリーママさんがいらっしゃるこの場で思いを伝えることに意味があると

>信じています。

>サチかかさん、カテゴリの「思春期について」が私にはとても助かりました。

>まだ思春期でなくても、あるいはもう思春期でなくても大切なこと、いっぱい書かれています

心が強く保てない飼い主さんだな、と感じると まずは叱らないようにお願いしています。

心が強くないと、教育的無視も叱ることと感じてしまうようです。

かわいそうな感じがすることは全部叱りだと思うのね。 そうすると犬は不安定になります。

その状態で、強くなって、とお願いしても無理だったりします。

人によって受け取り方が違いますので、なかなか伝わらないポイントなのです。

そういう方々に、強さって何かを教えてくれるのは何だと思いますか?

それは・・・ 犬です。

あなたがヒートアップしたとき、犬はくるりと背を向けますね?

瞬きして不安そうにしませんか?

そのシグナルは弱さではない。 なだめは、弱さではない。 争いを避けるという命の知恵です。 知恵は強さではないでしょうか?

人は、科学の進歩で命をまじかに観察することをしなくなって久しく すぐにマニュアルを紐解こうとします。

でも・・・そこに一番の先生がいるのですよ。

それが犬と犬とのコミュニケーションです。

ガウッて言われてそっぽを向いたり、まるで何もなかったように 目の前をスルーする犬。

噛みの強い子犬に、わざと仰向けになって噛み加減を教える犬。

人の方法では犬は分からないから、困惑しているのかもしれません。

人は支配性を持ちだすことで、力で制御することを正当化し 犬を支配下に置こうとする。

犬は人と支配関係を結ぶために生きているわけではないから、 困惑して、不安感から唸ったり、噛んだりするのかもしれない。

正すべきは、人の方でしょう。 絶対的な安心感を用意できるか。

用意できるまでには時間がかかります。

何かをすれば完成する、というような単純なものではないのです。

そこを本当に人が理解できた時 犬は唸る必要も、噛む必要もなくなるのかもしれません。 私はそう信じています。

 

 

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